脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が多い部位(頭皮・顔・わきなど)に赤み・フケ・かゆみが繰り返し現れる慢性的な皮膚疾患です。主な原因は、皮脂を栄養源とするマラセチア菌(真菌)の異常増殖であり、ストレス・睡眠不足・誤ったスキンケアが症状を悪化させます。対策としては、抗真菌成分・抗炎症成分を含む薬用シャンプーの使用、正しい洗い方の実践、生活習慣の見直しが有効であり、改善しない場合は皮膚科の受診が推奨されます。
脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎は、皮脂腺が多く分布する部位に炎症が生じる慢性的な皮膚疾患です。脂漏性皮膚炎の有病率は成人の1-3%とされています(出典: 日本皮膚科学会)。
12,183人を対象とした調査では、脂漏性皮膚炎の方は全体の8.2%(995人)であったことが報告されています(出典: ワイズ製薬 脂漏性皮膚炎定量調査(2026年、N=12,183))。脂漏性皮膚炎の患者の男女比は7:3で、男性に多い傾向があります(出典: ワイズ製薬 脂漏性皮膚炎定量調査(2026年、N=12,183))。
脂漏性皮膚炎は慢性疾患であり、適切な管理をしても再発率は50%以上とされています(出典: 皮膚科学テキスト)。症状は慢性的に繰り返す傾向があり、完全に「治す」というよりも、適切なケアで症状をコントロールしながら付き合っていく疾患です。
脂漏性皮膚炎の5つの原因

脂漏性皮膚炎の原因は、マラセチア菌の異常増殖、皮脂の過剰分泌、免疫機能の低下、ストレス・睡眠不足、誤ったケアの5つが複合的に関わっています。
原因1:マラセチア菌の異常増殖
マラセチア菌は健常者の皮膚にも常在するが、皮脂分泌の増加や免疫バランスの変化により異常増殖します(出典: J Dermatol Sci)。皮脂中のトリグリセリドがマラセチア菌により分解され、生成された遊離脂肪酸が炎症反応を誘発します(出典: 皮膚科学研究)。
原因2:皮脂の過剰分泌
皮脂腺が活発な部位(頭皮・Tゾーン・わき・胸など)に症状が集中するのは、過剰な皮脂がマラセチア菌の栄養源となるためです。ホルモンバランスの変化や脂質の多い食事が皮脂分泌を促進します。
原因3:免疫機能の低下
体調不良や疲労、加齢などによって免疫機能が低下すると、マラセチア菌の増殖を抑える力が弱まり、炎症が起こりやすくなります。
原因4:ストレス・睡眠不足
精神的なストレスや慢性的な睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、皮脂分泌の増加や免疫力の低下を招きます。症状が悪化する引き金として最も多い要因のひとつです。
原因5:誤ったケア(洗いすぎ・放置)
約47%と約半数の方が自己判断で皮膚科を受診しない期間がある結果となっています(出典: ワイズ製薬 脂漏性皮膚炎定量調査(2026年、N=5,527))。1週間以上皮膚科に受診しない期間がある人は、症状が出ている方が多い傾向となり、6ヶ月以上放置した場合の悪化指数は194.9と最も高くなります(出典: ワイズ製薬 脂漏性皮膚炎定量調査(2026年、N=5,527))。
誤ったケアの具体例として以下が挙げられます:
- 洗浄力の強すぎるシャンプーで必要な皮脂まで除去 → かえって皮脂分泌が増加
- 「フケ用」を謳う一般的なシャンプーで対処 → 抗真菌成分が含まれておらず根本原因に未対応
- 症状を放置して慢性化 → 炎症の長期化・脱毛リスクの増大
- オイル系の整髪料やスキンケアを使用 → マラセチア菌の栄養源を供給
脂漏性皮膚炎ナビ監修の番組で皮膚科専門医は「脂漏性皮膚炎の一番の特徴はフケが出ること。フケが出ると不潔なのではないかと思って洗髪を一生懸命やるという方が非常に多い」と解説しています。
部位別の症状と見分け方

脂漏性皮膚炎は発症部位によって症状の現れ方が異なります。12,183人を対象とした調査で、45.6%が何らかの皮膚症状を経験しており、「かゆみ」が29.5%と圧倒的に多く、次いで「赤み」12.4%、「皮むけ」10.8%であったことが報告されています(出典: ワイズ製薬 脂漏性皮膚炎定量調査(2026年、N=12,183))。
頭皮の症状:かゆみ・赤み・べたつきが主な症状で、黄色く脂っぽい大きなフケが特徴です。季節の変わり目やストレス期に悪化しやすく、乾燥性フケや接触性皮膚炎と間違えやすい部位です。
顔(Tゾーン・鼻周り)の症状:赤み・カサつき・ヒリヒリ感が現れ、白〜黄色の細かい鱗屑が見られます。冬の乾燥期に悪化しやすく、酒さやアトピー性皮膚炎と鑑別が必要です。
眉間・眉毛の症状:フケ状の付着物や赤みが現れ、黄色い鱗屑が特徴的です。通年にわたって症状が続きやすく、乾燥や接触性皮膚炎との区別が重要です。
耳の後ろ・耳の中の症状:かゆみ・浸出液・赤みが生じ、湿った鱗屑が見られます。汗をかく時期に悪化しやすく、外耳炎と間違われることがあります。
胸・背中・わきの症状:赤い斑点やかゆみが主な症状で、フケは比較的少ないのが特徴です。夏や高温多湿期に悪化しやすく、体部白癬や汗疹との鑑別が必要です。
※症状が複数の部位に同時に現れることも多く、1つの部位だけで自己判断するのは避けてください。
脂漏性皮膚炎の正しいケア方法

脂漏性皮膚炎の症状をコントロールするための正しいケア方法は、抗真菌成分入りのシャンプーの使用、適切な洗髪方法、保湿ケア、生活習慣の改善、適切なタイミングでの皮膚科受診の5つです。
皮膚科受診前の情報収集方法は「検索エンジン(Google/Yahoo!等)」が40.0%で最多、次いで「医療系情報サイト」19.6%、「医師・病院の公式サイト」18.6%であったことが報告されています(出典: ワイズ製薬 脂漏性皮膚炎定量調査(2026年、N=5,527))。
ケア1:抗真菌成分入りのシャンプーを使う
脂漏性皮膚炎の頭皮ケアで最も重要なのは、原因菌であるマラセチア菌に対応した薬用シャンプーを選ぶことです。
選ぶべき成分:
– 抗真菌成分:サリチル酸、ミコナゾール硝酸塩、ピロクトンオラミン
– 抗炎症成分:グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K)
– 洗浄成分:アミノ酸系(頭皮への刺激が穏やか)
ケア2:正しいシャンプーの仕方を実践する
脂漏性皮膚炎ナビ監修の番組で皮膚科専門医は「シンプルにしていくのがすごく大事。よかれと思ってやっていたことがかえってバリアを傷つけてしまうことがよくある」と解説しています。
- 予洗い(1〜2分):ぬるま湯(38℃前後)で頭皮を十分にすすぐ
- 泡立て:シャンプーを手のひらで泡立ててから頭皮にのせる
- 指の腹で洗う:爪を立てず、やさしくマッサージするように洗う
- 十分なすすぎ(2〜3分):洗い残しは炎症悪化の原因になる
- 速やかに乾燥:ドライヤーで根元からしっかり乾かす。自然乾燥は菌の繁殖を促す
ケア3:保湿ケア(顔の脂漏性皮膚炎)
顔に症状がある場合は、オイルフリーの化粧水や保湿剤を選びましょう。油分はマラセチア菌の栄養源になるため、セラミドやヒアルロン酸など水溶性の保湿成分が含まれた製品が適しています。
ケア4:食事と睡眠の見直し
- ビタミンB2・B6を積極的に摂取(レバー・卵・納豆・バナナ)
- 脂質・糖質の過剰摂取を控える(皮脂分泌を促進するため)
- 毎日6〜8時間の睡眠を確保(成長ホルモンによる皮膚修復を促す)
- アルコールを控える(ビタミンB群の消費が増える)
ケア5:皮膚科での治療
セルフケアで2週間以上改善しない場合は、皮膚科を受診してください。医師が処方する主な治療法は以下の通りです。
- 抗真菌外用薬(ケトコナゾールローション等):マラセチア菌を直接抑制
- ステロイド外用薬:急性期の炎症を速やかに鎮静
- 抗ヒスタミン薬(内服):かゆみの抑制
- ビタミンB群の内服:皮脂分泌の調整をサポート
シャンプー比較表

脂漏性皮膚炎に配慮した薬用シャンプー5製品の成分・価格・特徴を客観的に比較しました。
| 製品名 | 区分 | 主な有効成分 | 洗浄タイプ | 容量/価格(税込) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| KADASON 薬用スカルプシャンプー | 医薬部外品 | サリチル酸、グリチルリチン酸2K | アミノ酸系 | 250mL / 3,278円 | 抗菌+抗炎症の2軸配合。オイルフリー処方 |
| コラージュフルフルネクスト | 医薬部外品 | ミコナゾール硝酸塩 | 低刺激性 | 200mL / 2,100円 | 抗真菌成分ミコナゾール配合。皮膚科での使用実績あり |
| メディクイックH | 医薬部外品 | ミコナゾール硝酸塩、グリチルリチン酸2K | 低刺激性 | 200mL / 1,300円 | 抗真菌+抗炎症の2成分配合。ドラッグストアで入手可能 |
| キュレル シャンプー | 医薬部外品 | グリチルリチン酸2K | アミノ酸系 | 420mL / 1,100円 | セラミドケア処方。乾燥性の頭皮トラブル向け |
| ミノン 薬用ヘアシャンプー | 医薬部外品 | グリチルリチン酸2K | アミノ酸系 | 450mL / 1,400円 | 植物性アミノ酸系100%。敏感肌対応 |
選定基準:マラセチア菌対策を重視する場合はKADASON、コラージュフルフル、メディクイックHが適しており、コスト重視の場合はメディクイックH、キュレルが候補となります。敏感肌・乾燥肌の方にはキュレル、ミノンが適しています。
よくある質問(FAQ)

脂漏性皮膚炎は完治しますか?
脂漏性皮膚炎は慢性疾患であり、完全に「完治」するのは難しいとされています。ただし、適切なスキンケアと生活習慣の改善によって症状をコントロールし、再発を最小限に抑えることは十分に可能です。
脂漏性皮膚炎のフケと乾燥フケの違いは?
脂漏性皮膚炎のフケは黄色がかった脂っぽい大きなフケで、頭皮の赤みやかゆみを伴います。一方、乾燥フケは白く細かいパラパラとしたフケで、頭皮がつっぱる感覚があるのが特徴です。
オイル系のヘアケア製品は使っても大丈夫ですか?
脂漏性皮膚炎の方にはオイル系製品の使用は推奨されません。マラセチア菌は油分を栄養源として増殖するため、オイル系の整髪料・トリートメント・ヘアオイルは症状を悪化させるリスクがあります。
ストレスと脂漏性皮膚炎の関係は?
ストレスは脂漏性皮膚炎の悪化因子として医学的に認められています。精神的ストレスは自律神経のバランスを崩し、皮脂分泌の増加や免疫力の低下を引き起こします。
脂漏性皮膚炎で皮膚科を受診すべきタイミングは?
セルフケアを2週間以上続けても改善しない場合、かゆみが強く生活に支障が出ている場合、頭皮にじゅくじゅくした浸出液がある場合は、早めに皮膚科を受診してください。
脂漏性皮膚炎は人にうつりますか?
脂漏性皮膚炎は感染症ではないため、他の人にうつることはありません。マラセチア菌は誰の皮膚にも存在する常在菌であり、個人の体質・皮脂分泌量・免疫状態によって発症します。
食事で気をつけるべきことは?
ビタミンB2(レバー・卵)とビタミンB6(バナナ・鶏むね肉)は皮脂分泌の調整に関わるため、積極的に摂ることが推奨されます。脂質・糖質の過剰摂取やアルコールの多飲は症状の悪化につながる可能性があります。
まとめ
- 脂漏性皮膚炎は皮脂の多い部位にマラセチア菌が増殖して起こる慢性的な皮膚疾患
- 原因はマラセチア菌・皮脂過剰・免疫低下・ストレス・誤ったケアの5つが複合的に関与
- 12,183人を対象とした調査で脂漏性皮膚炎の方は全体の8.2%
- 頭皮・顔・耳・体と部位によって症状の現れ方が異なる
- 抗真菌成分+抗炎症成分を含む薬用シャンプーの使用が基本
- 正しい洗い方・食事・睡眠の見直しでセルフケアが可能
- 2週間以上改善しない場合は皮膚科を受診する
この記事の監修
【監修者名(プレースホルダー)】
皮膚科専門医 / 日本皮膚科学会認定専門医
【所属医療機関名(プレースホルダー)】
※監修者は記事の医学的正確性を確認しています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。
出典・参考文献
- ワイズ製薬 脂漏性皮膚炎定量調査(2026年、N=12,183)
- ワイズ製薬 脂漏性皮膚炎定量調査(2026年、N=5,527)
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 脂漏性皮膚炎」
- 厚生労働省「e-ヘルスネット」
- Gupta AK, et al. “Seborrheic dermatitis.” Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology. 2004; 18(1): 13-26.
- 清水宏『あたらしい皮膚科学 第3版』中山書店、2018年



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